白洲の真砂
島原の乱で有名な原城本丸跡の南方約300m沖合に、長さ1キロメートルに及ぶ瓢箪型の浅瀬があり、旧暦3月、8月の最干潮時などには白い洲が現れる。
これが地元で「白洲」と呼ばれ、世界でも珍しいリソサムニウム礁である。
リソサムニウム礁は礫などに着生した石灰藻の無数の密集地であり、時にはサンゴに似た固く大きな塊をつくる。
このような被覆性石灰藻がリソサムニウムであるという。昭和2年に当時の広島高等師範学校佐藤伝蔵教授によって着目された。
植物の事典(東京堂出版)によれば「石灰藻というのは、藻類の中で石灰質が藻全体または組織膜に含まれていて、普通の藻類と違って硬くなっているものの総称である。中には石塊のようになものもある。
多分に生態的意味をもつ呼び方で、分類学的に石灰藻という綱とか目、科があるわけではない。ある種の紅藻類、例えばサンゴモ類などは細胞膜間に多量の炭酸カルシウムが沈着するので石のように固い。
これらの藻類はしばしば化石として産出し、特にサンゴモ類はサンゴ礁の生成や発達に重要な役割を果たしている」という。
紅藻類の紅色は葉緑素のほかに紅藻素が含まれているからで、「白洲」の石灰藻も淡紅色の美しい色を呈していて樹脂状あるいは塊状の形状であるが、遺骸や長時間空気に触れたものは、地元の人が「白洲の真砂」と呼ばれるにふさわしい美しい純白色をしている。
原城の海蝕崖の大江貝層(今から約2万5千年前の大紅層の上部層)から「白洲」で見られるような石灰藻化石が見られ、太古の昔から石灰藻が生育していたことを物語っている。





